役者のワークショップをどのように選びますか?役者・監督としてお答えします。

あなたはこのような悩みを持っていませんか?
・ワークショップの数が多くて、どのワークショップに行けばいいのかわからない
・どうワークショップを選びますか?

結論としては、仮に私が、演戯のワークショップを選ぶなら
・演戯をしたことがある主催者であり
・受講生に演戯させるだけでなく、主催者も演戯を実演してくれる

ワークショップを選びます。

私、三天屋 多嘉雄(みそらや たかお)は、10年以上もの期間役者を、そして監督・脚本家を生業としてきました。その経験として、役者のワークショップの関わり方について詳しくお話させていただければと思います。

監督・脚本家 三天屋 多嘉雄(みそらや たかお)

東京工業大学大学院 社会理工学価値システム 文化人類学 学術修士取得。 芸歴80年・松尾芸能賞(※1)受賞者の沢竜二に弟子入りし、10年に渡り修行。 弟子入りしてわずか3年という沢一門でトップクラスのスピードで花形座長になり、年間400本を超える舞台に立つ。 ニューヨークでの一座公演を成功させ、当時の地元紙に取り上げられる。 企業ドラマ「人生のメソッド」シリーズの脚本・監督を務め、大賀屋薬局編、英進館編、明治産業編など合計で83.9万回以上Youtubeで再生される。 (※1)松尾芸能賞とは、高倉健や西田敏行など名だたる演劇人に与えられる賞。

https://fuku-you.jp/about/

ワークショップは他のエントリでもお話しましたが、あくまでも、何かのきっかけにすぎません。

「関心がある!」と思い込んでいたのに、専門学校に通った結果「うわ…まったく興味なかった…」と感じると、時間とお金の浪費は計り知れません。
一方で、ワークショップは、専門学校などと比べると、短時間、かつ、少ないお金でとある分野の体験できます。「もっと知りたい!」と思える分野か、確認ができる面ではワークショップは良いでしょう。

しかし、ワークショップの本来の目的を失い、学びの場と勘違いしている場合が多いです。さらに、主催者側にも誤った認識をしている人も多いのです。

演戯以外のワークショップに参加する

といった考えや認識を踏まえたで、私の場合は、役者である以上、役者以外のワークショップを選びます。例えば、照明のワークショップなど、どんな仕事をしているか理解する入り口として、この上なくありがたいのです。なぜ役者なのに、照明のワークショップに参加したいのか?というと、演出のノウハウをもっと増やしたいからです。

そういった意味で、技術職への関心は幅広く持っています。
しかし、そのワークショップで体験はできたとしても、ワークショップだけで専門的技術につながるとは思っていません。照明技師さんと同等の技術や知識を得るには、相応の期間が必要なことは少し考えればわかります。ワークショップだけで身につけられると思いこんではいけません。

演戯のなかでも、アクションのワークショップにも私は関心があります。
アクションのワークショップでは、身体を動かすという体験をできるわけですから、新たな感覚を得ることができます。
しかし、これも照明技師と同じことで、そう簡単に身につくものではありません。

また、技術でいえば声優さんの仕事にも、興味があります。こちらもアテレコと実際の演戯は異なる部分が多い。
声だけで表現する声優さんのスキルは、魅力のあるものです。これもそう易々と手に入るものではありません。ワークショップでは、専門的技術の一端を見せてもらえることが醍醐味です。「凄いな…!」と感心させられる。

役者として演戯のワークショップに参加するか?

しかし、私の場合、演戯のワークショップとなると、話が変わってきます。
たしかに、演戯のワークショップには、研究・調査で行くことはあります。ただ、あくまで調査に「行くべき(should go)」なのです。言い換えると、調査に「行きたい(want to go)」ではないのです。

という主張を理解していただくために、私が学生の時に、日本の演戯学習の実態を調査する目的で、東京のあらゆる養成所やワークショップの実地調査を行った経験をお話します。

ここにいる方々は、ほとんどが演戯のワークショップを探している方々だと思います。誤解のないようにお伝えしておくと、お話されていることも正しくて、価値が高く、素晴らしい内容のワークショップは確かにあります。一方で、そうではないワークショップも多くあるのが現状です。
だからこそ、ワークショップを選びにくくて困っているというのが、正直な感想です。

演戯のワークショップにおいては、主催者がどんな人なのかという違いを多く見かけます。具体的に、大きく分けると、映像監督や脚本家が主催される場合と、俳優が主催する場合です。
ところが、ワークショップでやっている内容はあまり変わりません。
例えば、台本を使った演技やシチュエーション、即興劇などです。
単に、参加者は演技をさせられ、当たり障りのないコメントをもらう。

私は、この状況がおかしいと思います。

まず、優れたワークショップでは、内容は似ていたとしても、セクションごとに目的が明確です。さらに、多角的に捉えられていることが特徴です。そして、実演があり、素晴らしい技術であれば、さすがと言わざるを得ない。

質の悪いワークショップでは、主催者の立場が違うはずなのに、内容が似通っていたり、あまりに根拠がないことを教えていたりします。そして、主観に頼り過ぎていることなどが挙げられます。そして、主催者による実演がないことが決定的です。

特に多いのは主観的な内容です。その人の理想の元やっているセミナーならば良いかもしれませんが、ワークショップの本来の目的とは異なります。

演戯のワークショップという言い方が流行り出した経緯はわかりませんが、
平田オリザさんのような方の活動が拍車をかけたことは予想できます。

平田さんのワークショップの様子は、本や映像で拝見しましたが、まさしくワークショップという言い方がふさわしいものです。内容が充実しているし、役者ではない人や、人前に立つことを苦手としている人が、平田さんのワークショップを体験すれば、きっと見える世界は変わるだろうなと想像できます。ターゲットと意図がマッチングしているし、平田さんの演戯に触れることで喜びを感じられるような意図が明確です。平田さんのワークショップは、社会に貢献しようとする努力が垣間見えるわけです。

ところが、多くあるワークショップと名のついているものは、ワークショップの機能を持っていなかったり、実演がなかったりと、違和感がとても多いのです。

残念ながら、演戯のできない監督や脚本家に、演戯の指導はできないはずです。脚本の意図を伝えることが仕事であって、演戯の指導者ではありません。

演出家の蜷川幸雄さんですら、演戯の指導は、私の師匠である沢竜二をはじめ、出演されているベテランの役者さんたちに頼っていました。
つまり、教育を受けていない役者が、人に教えることはできないはずです。例えば、宝塚の出身者が受験生のために、スクールを運営している場合がありますが、それは、宝塚で教育を受けているからこそできることです。だからこそ、受講生は成果を出せます。

実演もない俳優のワークショップなど、全く価値を感じられません。何も勉強をしていないから、人にさせて、自分は実演せず終わりとなります。映像監督の場合も同様です。
想像力を駆り立てるようなシチュエーションをする方も多いのですが、それは舞台分野でやるべきことです。映像の場合ならば、道具をそろえてから実践のはずです。しかし、パントマイムですること自体おかしなことです。

それよりは、映像監督がやるならば、カメラと連動させるワークショップには意味がありますし、納得もできます。
映像も回さない映像監督のワークショップに、一体何の意味があるのだろう…と私は考えてしまいます。

まとめ

仮に私が、演戯のワークショップを選ぶなら
・演戯をしたことがある主催者であり
・受講生に演戯させるだけでなく、主催者も演戯を実演してくれる

ワークショップを選びます。というのも、お手本があってはじめて、人は向かうべき方向性が理解できるからです。お手本もなく、口だけで言われても情報量が少なくて、理解できないでしょう。

私、三天屋 多嘉雄(みそらや たかお)が代表をつとめますFukuyouアクターズスクールでは、芝居や演戯をする上でもっとも大切な要素である「型」を身につけるレッスンを中心に活動しております。
劇的に演戯のスキルが向上し、多くのお仕事をもらえるようになったレッスンの受講生がたくさんいます。

Fukuyouアクターズスクール一同、 全力であなたに貢献しますので、役者として成長したい方は、まずはお気軽にHPよりご連絡いただけますと幸いです。

レッスン詳細を知る

お問い合わせ入力ページを開く

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です